相続人の一人が認知症の場合の相続登記|手続きの流れと解決策を司法書士が解説
「相続人の一人が認知症で遺産分割協議に参加できるか不安」「認知症の相続人がいると相続登記が進められないと聞いた」そんな方へ。
認知症の相続人がいる場合でも適切な手続きを経ることで相続登記を進めることができます。ただし通常より時間がかかるため早めにご相談ください。
認知症の相続人がいると何が問題?
相続登記を行うためには相続人全員で遺産分割協議を行い全員が遺産分割協議書に署名・捺印する必要があります。
認知症などで判断能力が低下している方は法律上有効な意思表示ができないとみなされます。そのため認知症の相続人がいる場合は遺産分割協議書への署名・捺印が無効になる可能性があり相続登記が進められなくなります。
放置すると2027年3月31日の義務化期限を過ぎてしまうリスクがあります。早めの対応が重要です。
解決策:成年後見制度の利用
認知症の相続人がいる場合の最も一般的な解決策が「成年後見制度」の利用です。
■ 成年後見制度とは 判断能力が低下した方の代わりに法律行為を行う後見人を選任する制度です。家庭裁判所に申し立てを行います。
■ 手続きの流れ
①家庭裁判所に成年後見人選任の申し立てをする
②家庭裁判所が審判を行い後見人を選任する(2〜4ヶ月程度)
③選任された後見人が認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加する
④遺産分割協議書に後見人が署名・捺印する
⑤相続登記を申請する
■ 後見人になれる人 家族が後見人になれる場合もありますが家庭裁判所の判断によって弁護士・司法書士などの専門家が選任される場合もあります。
■ 注意点 成年後見人は認知症の相続人の利益を守る立場のため認知症の方にとって不利な内容の遺産分割には同意できません。法定相続分を下回る内容の協議は原則認められません。
成年後見申し立てにかかる費用と期間
■ かかる期間 申し立てから後見人選任まで:2〜4ヶ月程度
■ かかる費用 申し立て費用(実費):1万円程度
鑑定費用(必要な場合):5万円〜10万円程度
後見人への報酬:月2万円〜6万円程度(後見が続く限り発生)
成年後見は一度始まると認知症の方が亡くなるまで続くのが原則です。後見人への報酬も継続して発生します。
早めに動くべき理由
認知症の相続人がいる場合に特に注意すべき点があります。
・認知症が進行すると申し立て自体が複雑になる
・2027年3月31日の義務化期限が迫っている
・成年後見人の選任まで2〜4ヶ月かかるため早めに動かないと期限に間に合わない
・放置すると次の相続が発生した場合にさらに複雑になる
「様子を見てから」では手遅れになるケースが多いです。認知症の相続人がいることがわかった時点ですぐにご相談ください。
相続人申告登記で義務化期限をまず守る
成年後見の手続きに時間がかかる場合は「相続人申告登記」という簡易的な手続きで義務化期限をまず守ることができます。
相続人申告登記は遺産分割協議がまとまっていない段階でも「自分が相続人であること」を法務局に申告することで登記義務を履行したとみなされます。成年後見の手続きと並行して進めることをおすすめします。
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